太田垣:取材は行ってきました。
SQ:行きましたって…。え? NASAですか?
太田垣:NASA行きました。あのー、2000年の9月だったんですけど、当時まだ9.11テロの前で、警備がゆるかったんです。取材のコーディネイトしてくれた方が有名な軍事カメラマンで、取材方法は…スペースシャトルの滑走路に、遠隔操作で撮影するためのケーブルを引くんですが、それを日本人でただ一人引けている方なんです。シャトルって大気圏から戻る際に有毒ガスが発生するので、近くで撮影できないんですよ。彼はシャトル計画の初期の頃からずっと取材している方なので、NASAと太いパイプがあるんです。そんな方にくっついていったので、整備中のスペースシャトルの腹の下にまで入ることができまして。
SQ:うわぁ絶対見れないよ普通~ってところですよね。
太田垣:すぐ、ここらへんに(シャトルが)ありましたね。でも触っちゃいけないんです。一応、銃を腰に下げた人がついているので。この取材のおかげで、宇宙開発に対しての考え方というか感じ方がずいぶん変わりました。
SQ:どんな風に?
太田垣:日本人から見る宇宙飛行士って、まだちょっとした有名人じゃないですか。ヒーローというか。アメリカはそういう時代は60年代に終わっちゃってるんですよ。
SQ:もう日常であるというか…。
太田垣:そう。スペースシャトルを整備しているのは、地元採用の若いねーちゃん。NASAの施設内を案内してくれたのは、OBのおじいちゃん。
SQ:とても身近ですね(笑)
太田垣:で、整備士やなんや、いろんなセクションで働く人たちと食堂でランチを食べるんですけど、地元の彼らからすると、それがフツーの労働環境なんですよね。単なる職場でしかない。で、何ヶ月に一回、そこで整備しているスペースシャトルが「今度また宇宙に行くねえ」っていう。そういう感覚なんですよ。
SQ:もう、宇宙は日常っていう…。
太田垣:そうなんです。僕も、取材に行く前は最先端のものだと思ってたんです。でも、しょせん日本のマンガ家ふぜいが行って、触れる距離まで入れるってことは、これもう最先端じゃねえやって実感したんです。